【第1章】 第3話〜夢〜

2008.07.08
四音は広い草原を駆けていた。
とても暖かい日差しを浴びて、ただがむしゃらに駆けていた。

『今日はあの人に会える!』
手紙を見た四音に飛び込んできた差出人の名前。
四音は久しぶりに会える友を心待ちにしながら、時間をもてあそぶように草原を駆けていた。

ふと…突如現れたのは目を疑うような大きな遺跡。
それは今まで見たこともないような不思議な形。
何かが心をくすぐる、そんな感じが四音を取り巻く。
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『なんだろう』
不思議な感覚が四音を一歩一歩と遺跡へと近づけていく。
目の前に入口らしき扉が見えた。
扉に向かって歩を進めようとした瞬間…

『ダメ!』
急に誰かに呼び止められる。
…誰か?

「誰!?」
突然の声に四音はあたりを見廻す。

『気のせい?』
近くには人の気配すらない。
だがその声はどこか懐かしい声に聞こえた。

また一歩遺跡へと近づく。

『ドーン!!』
大きな音が頭に響く。




「痛い…」
数秒後、ゆっくりと四音が意識を取り戻した。
ぼーっとしながらあたりを見廻す。
見慣れた天井が四音を待っていた。
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「夢?」
後頭部に痛みを感じながら、やっと自分が夢を見ていた事に気が付く。
3人は寝られるような大きなベッドが自慢の四音だったが、そのベッドが目線より上にあった。
どうやらベッドから落ちたらしい。
寝相が悪いからと言って、そうそうベッドから落ちるような事はないだろう。
まだ覚醒していない頭でも、恥ずかしい気持ちは抑えられなかった。



『トントントン…』
耳に心地よいリズムが四音の朝を迎える。
その小刻みなリズムと一緒に、おいしそうな香りがリビングを包んでいた。

「おはよう」
眠そうな声で挨拶をした四音。

「あら?起きたの?何だかすごい音がしたけど…まさかね?」
感が鋭いのは四音の妹のルビィだ。
四音よりも2時間は早く起きて朝の支度を進めていたルビィ。

「あはは…ベッドから落ちた…」
恥ずかしそうに呟く四音。

「やっぱり…」
呆れ顔のルビィ。

「今年何回目?今までそんなこと一度もなかったのに、急に寝相悪くなったね。夜遊びしすぎなんじゃない?」
最近になってベッドから落ちる四音に鋭く突っ込みを入れるルビィ。

「そんなことないよ。昨日は早く寝たし…」
言い訳を考える四音。

『そういえば何か夢を見た気がするなぁ…いつも同じような夢を見ている気がするんだけど…覚えてないんだよなぁ』


「そうだ。姉貴に手紙きてたよ」
夢を思い出そうとしていた四音にルビィの声が届く。

「そうだった!中見てないでしょうね!」
差出人も確認していない四音だったが、何か見られてはまずいと感じていたのだろうか。思ったことをそのまま口にした。

「見てないよ…何?彼氏から?」
むっとしてルビィが仕返しをしてくる。
残念ながら四音に“今は”彼氏がいない。
もちろんそれはルビィも知っていた。

「バカ」
四音はちょっとやられたと思いつつ、興味はルビィとの会話ではなく手紙に移っていた。
二人暮らしをしている四音とルビィの朝はいつもこんな感じである。
お互いに大きく干渉はせず、かと言って会話がないわけでもない。



丁寧に封を切る四音。
封筒には差出人の名前が書かれていなかった。

『誰からだろ…』
ちょっとかわいらしい封筒に目をやりながら、中身が気になる四音。
便せんが1枚だけ入っていた。



〜四音へ〜
お元気ですか?
久し振りだね。あれから何年たったのかな?
四音は今何をしているのかな。
私はあの時の楽しい日常を支えに頑張っています。
今はある遺跡の研究をしています。
そこはとても興味深くてまだまだ開発が進んでいない遺跡なの。
今はまだ研究中だけど絶対何かあるよ!あの遺跡には!
実はこの前あの遺跡の中で…
詳しくは会って話すね!

イズモ




差出人は四音の旧友、イズモからであった。
イズモは昔から研究や実験が好きで、いつも理科のテストだけは満点をとっていた。
そんなイズモが就職したのは遺跡研究推進総合センター。
何を推進しているのか、何が総合なのかよく分らないが、とにかく遺跡の研究をしている場所である。
もちろん四音にはさっぱり分らない世界である。

イズモは遺跡研究推進センターの研修生として働いている。
実は入社して3年以上たっているが未だに研修生なのである。
成績が悪いわけでもないのだが、なぜか昇級できていない。
イズモ本人は至って気にもしていないようだが。
昇級なんかよりも研究の方が大事なのである。
毎日資料室に篭っている。
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『イズモからかぁ…久しぶりだなぁ』
数年ぶりの手紙の差出人に四音はあの頃を思い出す。
いつも沙柚とラーラー、ほのかと5人で遊んでいた。
5人揃うといつもバカな話で盛り上がって時間を忘れて遊んでいたあの頃。
いつまでも続くと思っていた時間。
とりあえず興味あるものに没頭する癖があるイズモが先行し、それに続く4人。
イズモは昔、ラーラーの実家でアルバイトをしていた事もあり、巫女の経験がある。
もちろん今でもその能力は残っており、魔法を使う事ができる。
だが先行するがあまりいつも最初に痛手を負っては沙柚の力を必要としていた。

『会って話すって…いつどこで会うんだろ?』
手紙を読み返し、ふとした疑問を持った四音。



『ピンポーン』



第3話〜夢〜完
次回の物語もお楽しみに☆
See you next Story♪

【第1章】 第2話〜長い一日〜

2008.06.28
あまりにも突然な出来事に四音は目を疑った。
大きな物音とともに視界が暗くなったのだ。
後ろを振り向こうとした四音だったが、次に見た視界は草むらであった。
『ガルルルル…』
獲物を見つけたマザードラゴンは四音がほのかに気を取られている間に静かに近づいていたのだ。

「くぅ…」
呻き声をあげる四音。
不意打ちだったとは言え、仮にも自称熟練の剣士である四音が簡単に吹き飛ばされたのだ。
そのままゆっくりと近づいてくるマザードラゴン。
立ち上がろうと試みたが、どうやら軽い脳震盪を起こしたらしい。
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『やばい…』
一歩一歩近づいてくるマザードラゴン。
このままでは誰にも気づかれずにこの物語が終わってしまう。
…いや、そんなことを作者が許すわけがない。



『どん!』
突然の大きな音とともにマザードラゴンが四音の視界から消える。

「四音!大丈夫!?」
駆け付けたのはラーラーであった。
逸早く何かを感じ取ったのは巫女の力か、幼馴染の付き合いからか。
息を切らして四音の元へと駆けよる。
マザードラゴンは火の海に包まれていた。

「うん…」
頷きはしたが、四音は真っ青な顔である。
息絶え絶えにラーラーに目を向ける。
このままではラーラーに看取られながら物語が終わってしまう。
…いや、そんなことを作者が許すわけがない。


「あれ?」
だが次の瞬間には視界が正常に戻っていた。
沙柚の力である。

「大丈夫?」
心配そうに四音を見つめる沙柚。
大きな物音に気づき、ブースト全開で駆け付けたのだ。
おかげで間もなく燃料が切れそうになっているのは誰も知るところではない。

「助かった!ありがとう!」
力を取り戻した四音はお礼を言いつつも、目はマザードラゴンを睨みつけていた。
その姿を見て、沙柚もラーラーも戦闘態勢に移行する。




一方ほのかはと言うと…

『やばい…ちょっと休憩のつもりが…』
四音が吹き飛ばされたのを目の当たりにしたほのか。
一番近くにいたはずだが、休憩していた場所が悪かったため林を廻って行かなければならないのだ。

『四音大丈夫かな…あのままやられちゃったりしてないよね…このままじゃ物語が終わっちゃう!』
…そんなことを作者が…いや、何でもありません。

久しぶりに全速力で走るほのか。
もう少しで林を抜けて四音が倒れていた現場に辿り着こうとしたその時…

「あっ!」
こんなタイミングで高価なアイテムが手に入るかもしれないメタリカが登場。
しかもこちらに気づいていないようだ。

『四音のバカー!』
ついつい追いかけたくなる気持ちを抑えつつ、仲間の命に優先順位を置く。
そのままメタリカを通り過ぎ四音の元へ急ぐほのか。




あれから何分たっただろうか。
四音たちはマザードラゴンと対峙していた。
と!その時突然マザードラゴンが遠吠えをする。
何事かと耳を疑う四音たち。
その数秒後、数匹のワイルドドラゴが現れた。


特に合図があったわけではないが、3人はそのタイミングで同時に攻撃を開始した。
息のあったコンビネーションを披露する。
瞬く間にワイルドドラゴはジューシーなお肉の塊へと変貌していく。
そのお肉を必死に拾うラーラー。マザードラゴンは眼中になさそうだ。

「ちょっと!私が回復できるからって必死になる方向が違うでしょ!」
さすがの沙柚も突っ込みを入れる。
気がつけばまたどこからともなくワイルドドラゴが現れている。

「キリがない…」
四音がボヤく。



「やっぱり私がいないとダメね」
3人が対峙しているマザードラゴンの後方、ちょうど挟み込むようにほのかが現れた。
まるで遅れて登場したおいしいヒーロー役である。

「何してたのさ!」
四音は少し怪訝そうな顔をしながらほのかに叫ぶ。

「四音がピンチだったから助けにきたんでしょ!」
せっかく全速力で走ってきたのだ。しかもメタリカすらスルーしてきたのに。
むっとして四音に返すほのか。

「喧嘩してる場合じゃないでしょ!目の前にブースト落としてくれそうな巨体がいるのよ!」
いつもは喧嘩など気にもしないラーラーだったが、さすがにお宝が絡むと違うようだ。
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さすがに4人を相手にするのはマザードラゴンも歩が悪かった。
しかもほのかは後ろをとっているのだ。
徐々に弱っていくマザードラゴン。
最後はリーダー沙柚の超音波攻撃でジューシーなお肉の塊となった。



…そう、残念ながらブーストは夢で終わってしまったのだ。

「あ〜!巨体のくせに肉だけなんて!!」
ドロップ品に納得がいかないラーラー。

「やっぱりこんなもんよね…」
自分たちの運のなさに嫌気がさすほのか。

「痛かったのになぁ」
危うく物語が終わってしまうところだった四音。

「今日はバーベキューかしら?」
空気が読めていない沙柚。
…もちろんこれはわざとである。
暗い顔をした皆を元気づけようとした心配りだ。
さすがは癒し担当である。




長い一日が過ぎようとしている。
四音は自宅のベッドから天井を見上げていた。
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『今日も高価なものは手に入らずか…』
一日を思い出しながらあの夢の実現が遠いことに溜息をつく。

『あ!そういえばポストに手紙が入ってたなぁ…誰からだろう?』
疲れた身体をベッドから起こそうとしたが、眠気には勝てなかった。

『明日読もう…』
深い眠りに誘われ、四音は夢の世界へと導かれていった。

第2話〜完
次回の物語をお楽しみに☆
See you next Story♪