【第1章】 第2話〜長い一日〜

2008.06.28
あまりにも突然な出来事に四音は目を疑った。
大きな物音とともに視界が暗くなったのだ。
後ろを振り向こうとした四音だったが、次に見た視界は草むらであった。
『ガルルルル…』
獲物を見つけたマザードラゴンは四音がほのかに気を取られている間に静かに近づいていたのだ。

「くぅ…」
呻き声をあげる四音。
不意打ちだったとは言え、仮にも自称熟練の剣士である四音が簡単に吹き飛ばされたのだ。
そのままゆっくりと近づいてくるマザードラゴン。
立ち上がろうと試みたが、どうやら軽い脳震盪を起こしたらしい。
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『やばい…』
一歩一歩近づいてくるマザードラゴン。
このままでは誰にも気づかれずにこの物語が終わってしまう。
…いや、そんなことを作者が許すわけがない。



『どん!』
突然の大きな音とともにマザードラゴンが四音の視界から消える。

「四音!大丈夫!?」
駆け付けたのはラーラーであった。
逸早く何かを感じ取ったのは巫女の力か、幼馴染の付き合いからか。
息を切らして四音の元へと駆けよる。
マザードラゴンは火の海に包まれていた。

「うん…」
頷きはしたが、四音は真っ青な顔である。
息絶え絶えにラーラーに目を向ける。
このままではラーラーに看取られながら物語が終わってしまう。
…いや、そんなことを作者が許すわけがない。


「あれ?」
だが次の瞬間には視界が正常に戻っていた。
沙柚の力である。

「大丈夫?」
心配そうに四音を見つめる沙柚。
大きな物音に気づき、ブースト全開で駆け付けたのだ。
おかげで間もなく燃料が切れそうになっているのは誰も知るところではない。

「助かった!ありがとう!」
力を取り戻した四音はお礼を言いつつも、目はマザードラゴンを睨みつけていた。
その姿を見て、沙柚もラーラーも戦闘態勢に移行する。




一方ほのかはと言うと…

『やばい…ちょっと休憩のつもりが…』
四音が吹き飛ばされたのを目の当たりにしたほのか。
一番近くにいたはずだが、休憩していた場所が悪かったため林を廻って行かなければならないのだ。

『四音大丈夫かな…あのままやられちゃったりしてないよね…このままじゃ物語が終わっちゃう!』
…そんなことを作者が…いや、何でもありません。

久しぶりに全速力で走るほのか。
もう少しで林を抜けて四音が倒れていた現場に辿り着こうとしたその時…

「あっ!」
こんなタイミングで高価なアイテムが手に入るかもしれないメタリカが登場。
しかもこちらに気づいていないようだ。

『四音のバカー!』
ついつい追いかけたくなる気持ちを抑えつつ、仲間の命に優先順位を置く。
そのままメタリカを通り過ぎ四音の元へ急ぐほのか。




あれから何分たっただろうか。
四音たちはマザードラゴンと対峙していた。
と!その時突然マザードラゴンが遠吠えをする。
何事かと耳を疑う四音たち。
その数秒後、数匹のワイルドドラゴが現れた。


特に合図があったわけではないが、3人はそのタイミングで同時に攻撃を開始した。
息のあったコンビネーションを披露する。
瞬く間にワイルドドラゴはジューシーなお肉の塊へと変貌していく。
そのお肉を必死に拾うラーラー。マザードラゴンは眼中になさそうだ。

「ちょっと!私が回復できるからって必死になる方向が違うでしょ!」
さすがの沙柚も突っ込みを入れる。
気がつけばまたどこからともなくワイルドドラゴが現れている。

「キリがない…」
四音がボヤく。



「やっぱり私がいないとダメね」
3人が対峙しているマザードラゴンの後方、ちょうど挟み込むようにほのかが現れた。
まるで遅れて登場したおいしいヒーロー役である。

「何してたのさ!」
四音は少し怪訝そうな顔をしながらほのかに叫ぶ。

「四音がピンチだったから助けにきたんでしょ!」
せっかく全速力で走ってきたのだ。しかもメタリカすらスルーしてきたのに。
むっとして四音に返すほのか。

「喧嘩してる場合じゃないでしょ!目の前にブースト落としてくれそうな巨体がいるのよ!」
いつもは喧嘩など気にもしないラーラーだったが、さすがにお宝が絡むと違うようだ。
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さすがに4人を相手にするのはマザードラゴンも歩が悪かった。
しかもほのかは後ろをとっているのだ。
徐々に弱っていくマザードラゴン。
最後はリーダー沙柚の超音波攻撃でジューシーなお肉の塊となった。



…そう、残念ながらブーストは夢で終わってしまったのだ。

「あ〜!巨体のくせに肉だけなんて!!」
ドロップ品に納得がいかないラーラー。

「やっぱりこんなもんよね…」
自分たちの運のなさに嫌気がさすほのか。

「痛かったのになぁ」
危うく物語が終わってしまうところだった四音。

「今日はバーベキューかしら?」
空気が読めていない沙柚。
…もちろんこれはわざとである。
暗い顔をした皆を元気づけようとした心配りだ。
さすがは癒し担当である。




長い一日が過ぎようとしている。
四音は自宅のベッドから天井を見上げていた。
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『今日も高価なものは手に入らずか…』
一日を思い出しながらあの夢の実現が遠いことに溜息をつく。

『あ!そういえばポストに手紙が入ってたなぁ…誰からだろう?』
疲れた身体をベッドから起こそうとしたが、眠気には勝てなかった。

『明日読もう…』
深い眠りに誘われ、四音は夢の世界へと導かれていった。

第2話〜完
次回の物語をお楽しみに☆
See you next Story♪